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「この戦いで、同胞の血が多く流れた。それは、国軍もクーデター軍も、同じだ。そして国内にとどまらず、友好関係にあるネイトステフ王国の援軍にも、戦死者が出た」  ざわめいていた人々の声はしだいに静まり、皆アルネの訴えに耳を傾けた。 「これ以上の殺傷を、私は望まない! 首を落とされる者には家族がいる。そしてそれは、剣を振るうネイトステフの友人も同様だ!」  彼の熱弁に、拍手が沸き起こり始めた。 「ネイトステフの友人……私のことか?」  エディンもまた、アルネから目が離せなくなっていた。  アルネの発言には、うなずく者が多かった。  皆、戦に疲れきっているのだ。 「我が国の分断の危機に駆け付けてくれた、名高い竜将殿下! 彼に、無抵抗の人間を殺める不名誉は似合わない! そうは思わないか!?」  竜将の名は、民衆の間にも轟いている。  そうだそうだと、アルネに併せる声が聞こえ始めた。

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