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「このたびの戦いで、国土は荒廃した。罪人には、その回復にこそ、心血を注いでもらおうではないか!」
まだ幼さの残る若い王子が、このように見事なスピーチをする。
そこに居合わせた全員が、すっかりアルネに気を引かれた。
愛らしく美しい、テミスアーリンの真珠。
そんな王子が、引き締まった顔つきで、凛々しい声を張る。
魅了されずには、いられなかった。
「アルネ・エドゥアルド・クラルの名において、処刑の中止を命ずる! 以上だ!」
どっと、歓声が上がった。
「アルネ殿下!」
「アルネ様、ばんざい!」
「ありがとうございます、アルネ様!」
罪人たちの家族だけでなく、民衆が、軍人が、そして政治家たちも熱狂した。
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