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 歓喜の渦の中、エディンはアルネの方を見上げた。  彼と、目が合ったような気がした。  アルネもまた、エディンと視線が絡んだ気配を感じたので、そっと片目を閉じて見せた。  そんな彼の仕草に、エディンは頭に被ったエナンを脱ぎ、片膝をついて最敬礼を示した。  死刑執行人が、アルネの意見に同調したのだ。  この瞬間、公開処刑は中止の決が降りた。 「ありがとう、竜将殿下」  このアルネの呟きは、エディンまで届いていた。  心と心で、通じ合っていた。  立ち上がり、エディンはアルネを見上げた。  雨になると思っていたはずが、雲が切れて日が射している。  光を浴びたアルネの姿に、彼は肖像画で見た第一印象を思い出していた。 「やはり、天使だった……のかな?」  それほどアルネは、エディンの目に輝いて見えていた。  

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