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「命拾いしたな、貴殿らは」
エディンは、間近で震え青ざめていた戦犯たちに、声を掛けた。
今は簡素な囚人服を身に付けているが、以前は胸にたくさんの勲章を下げていた武官らだ。
「わ、私たちは、今後どのような裁きを……?」
「それは、アルネ殿下に訊いてくれ」
喜びをあらわにしているのは、階級の低い軍人たちだ。
命が助かった。
それだけで、表情を明るくしている。
だがエディンは、その無邪気さが今は胸に染みた。
命知らずで、常に戦場を駆け巡る自分とは、対極をなす存在。
それが彼らであり、アルネでもあるのだろう。
「案ずるな。あのアルネ殿下が、理不尽な仕打ちをするはずがない」
「は、はい……」
民衆たちの歓声に、腕を上げて応えるアルネ。
(王族に、あのような人間が、まだ残っていたとは)
エディンは、光を浴びて輝くアルネを、目を細めて眺めた。
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