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第九章 愛への期待
公開処刑は中止されたが、戦犯たちの罪が消えて無くなったわけではない。
それぞれが、その重さに応じて強制労働を科せられることとなった。
クーデターの首謀者である将軍は、すでにエディンによって死罪となっている。
問題は、彼以外に処刑されるはずだった者たちだ。
将軍の共犯者である、軍幹部。
教唆、煽動を行った上官。
文官や民間人など、非戦闘員への暴力や傷害、略奪を働いた兵士。
こういった人間らは、軍馬や歩兵によって踏み荒らされた畑の再生を命じられた。
「これでは、処刑された方がマシだったのでは?」
エディンは、アルネの採決に呆れた声を漏らした。
ガチガチに踏み固められた大地を、元のふくよかな畑に戻す。
そんな土地はいくらでもあり、広大だ。
何年かかるか解らない、大事業だ。
毎日毎日、天候と相談しながらの重労働が続く。
こいつは大変だ、とエディンは肩をすくめて見せた。
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