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「それに、軍の高官らが農夫に身を落とす……精神が耐えられるかどうか」
「おや? 竜将殿下は、農業を見下しておいでですか?」
「そういうわけでは、ないが。プライドの高い連中が根に持って、再びクーデターを企む恐れもある」
「大丈夫です。彼らはきっと、そのまま農業を営む道を選ぶでしょう」
アルネの笑顔は、明るかった。
「お日様と共に起きて、一日いっぱい汗水流して働き、陽が沈めば眠る。こんな健全な生活は、他にはありません」
それに、とアルネは続けた。
「収穫ができるようになれば、その収入は彼らが受け取れるようにしています。働けば働くほど、お金持ちになれる。こんな健全な職業は、他にはありません」
ね、と言うように、片目をつむって見せるアルネだ。
エディンは、そのウィンクに魂を持っていかれる心地がした。
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