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「アルネ殿下のプロパガンダは、大成功を収めた、というわけか」  そう締めくくったエディンだったが、自分を見るアルネの瞳が暗く沈んだことに動揺した。 (私は、何かマズいことを言ったか?) 「私はただ、皆が幸せを感じ、平穏に暮らせるようにと考えただけなのです……」  そこにいるのは、あの毅然としたテミスアーリンの王子ではなかった。  まるで傷つき、しおれてしまった花のようだ。 「す、すまない。そんなつもりで言ったのではない」  慌てて謝り、エディンは逃げるようにアルネの部屋を後にした。 「何て、純粋無垢な少年だ……!」  頬が、熱い。  鼓動が、速まる。 「おかしいぞ、私は!」  エディンの感情は、すでに理性を越え始めていた。

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