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「竜将殿下も、やはり故郷が恋しいのでしょうか。ご家族に、お会いしたいのですね?」 「いや、別に」  否定的な返事を、しかも即答のエディンだ。  アルネは、面食らった。 「家族と言っても、長兄は王都で国王をやっているし、次兄はその側近として腕を振るっているし」  三男で末息子の私は、国境の警備のため離れて暮らしている、とエディンは語った。 「だから、自分の城へ帰っても、家族の出迎えなどないのだ」 「あの、ご結婚は?」 「独身だ。私は、どうも貴族の子息や令嬢が、好きになれなくてな」  第二性がアルファであるエディンには、オメガ性の男性もパートナー候補として挙げられた。  それでも、彼は断り続けた。  私に愛など似合わない、と。

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