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第十一章 エディンの願い
「何てことだ」
アルネから、想定外の『ごほうび』をもらってしまったエディンは、頭を抱えていた。
『お疲れ様でした。よく、がんばりましたね。ありがとう』
アルネにもらった、温かなねぎらいの言葉。
その腕に抱かれた、ぬくもり。
甘く優しい、香り。
全てが、エディンの渇望していたものだった。
幼い頃から手を伸ばし、だが決して掴めなかった、愛情。
「それを、いとも簡単に。出会ってから、まだ一ヶ月そこらというのに」
アルネは惜しみなく、エディンに与えたのだ。
「マズい、ヤバい。これは、いけない……!」
部屋の中を、ぐるぐると歩き回りながら、エディンは焦った。
「……本国へ、還りたくない!」
何ということだろう。
彼は、ネイトステフに戻りたくなくなってしまったのだ。
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