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「学問も、芸術も、いくら頑張ってもダメだった。いつも、兄上と比べられて育ったのだ」
『これくらい、お前の兄は7歳で習得したぞ?』
『もっと励みなさい、フェリックス』
『色合いが、暗いな。兄上なら、輝くような色彩で表現しただろう』
『フェリックスは、センスがいまひとつ及ばないのね』
「そこで私は、武芸に打ち込んだ。兄上たちより秀でているのは、それしかなかった」
『その腕前で、兄上を支えなさい』
『命を懸けて、国王となった兄上を護るのよ』
「……だから、満たされなかった分を、私に埋めて欲しい、と?」
「その通りだ。私だけ本国へ還らず、しばらくこちらに御厄介になりたい!」
アルネは、突然に部屋まで駆けつけてきたエディンから、告白を受けていた。
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