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一息に喋ってしまったエディンは、軽く瞼を伏せてうなだれていた。
(いきなり、このような恥をさらしてしまった。アルネ殿下は、呆れておられる)
事実、アルネもまた瞼を伏せて、何か考え込んでいるのだ。
しかし、後悔はしていない、エディンだ。
積年の不満をようやく口にして、スッキリした。
誰にでも打ち明けられる話では、ない。
アルネだからこそ、告白したのだ。
(たとえ断られようとも、晴れやかな気持ちで帰還できる)
エディンがそう思った時、アルネが顔を上げた。
「解りました。心ゆくまで、御滞在ください」
「えっ!? よいのか!?」
はい、と応えるアルネの笑顔は、輝いていた。
「私も……竜王殿下ともう少し、共に過ごしたいのです」
エディンは、ようやく笑顔になった。
それは、アルネが初めて見る、素敵に明るい笑顔だった。
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