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第十三章 二つの名を持つ国

 足を傷め、鎮痛剤が必要でありながら、それを我慢するアルネの母。 『私はいいから、薬は臣下や市井の人々に分け与えなさい』  こんな、彼女の慈愛に満ちた言葉に、エディンは感動していた。 「さすがは、アルネの母上だ。君の心根が善いのは、あの御方に育てられたからだな」 「しかし、本当はとても痛いはずです」  医師や看護師によると、痛みで眠れない夜もあるらしい。  睡眠不足がたたって、食欲も湧かず、精神にも不調が出始めている。  そう語るアルネは、我が事のように沈んだ表情だ。  深い親子の愛に、エディンは胸を打たれた。 (アルネなら、私の提案に乗ってくれるかもしれない)  エディンは思いきって、ある考えを彼に示し始めた。

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