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「実は、とても良い薬の原料になる草木が豊かな国を、私は知っている」 「どこですか、そこは!? 行きたいです!」 「君ならば、そう来ると思った」  エディンは、にっこりと笑った。  使者を送り出す、だの、攻め入って属国にする、だの。  そういった、回りくどいことは一切無し。  自分が今すぐにでも赴いて、その手で母の為に薬草を掴む。  こんなアルネの持つ勢いが、エディンは好きだった。  その華奢な体つきや、美しい顔立ちからは、想像もつかない行動力。 (あの、公開処刑を中止させた大胆さ。やはり彼は、高貴な魂を持っているな)  しかし、満足げにうなずいたエディンの口から出た国名は、アルネを青くさせた。

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