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「私たちネイトステフの人間は、そこを『希望の国・ダマビア』と呼ぶ」
「まさか、あのエレニ砂漠の西にある……」
「そうだ。かつて、医療大国として栄華を誇った国だ」
「僕たちは、かの地を『悪魔の国・ダマビア』と呼んでいます……」
ネイトステフとテミスアーリンは隣国、しかも友好関係にありながら、どうしてこうも真逆の印象を、この国に持つのか。
アルネは、それを幼い頃から不思議に感じてはいた。
「これは、ダマビアとテミスアーリンの古い歴史が絡んでいるんだ」
「確か、ダマビアが麻薬の取引で財を成したため、テミスアーリンが粛清を」
「それは、表向き。裏には、もっと複雑な事情がある」
もったいぶったエディンの言い回しに、アルネは焦れた。
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