63 / 372

3

「私たちネイトステフの人間は、そこを『希望の国・ダマビア』と呼ぶ」 「まさか、あのエレニ砂漠の西にある……」 「そうだ。かつて、医療大国として栄華を誇った国だ」 「僕たちは、かの地を『悪魔の国・ダマビア』と呼んでいます……」  ネイトステフとテミスアーリンは隣国、しかも友好関係にありながら、どうしてこうも真逆の印象を、この国に持つのか。  アルネは、それを幼い頃から不思議に感じてはいた。 「これは、ダマビアとテミスアーリンの古い歴史が絡んでいるんだ」 「確か、ダマビアが麻薬の取引で財を成したため、テミスアーリンが粛清を」 「それは、表向き。裏には、もっと複雑な事情がある」  もったいぶったエディンの言い回しに、アルネは焦れた。

ともだちにシェアしよう!