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「もう! 早く教えてください。ダマビアの歴史を!」
「教えようかな。どうしようかな」
「教えてくれたら、美味しいお茶をご馳走しますよ?」
「よし。お茶をいただきながら、話そう」
簡単に陥落したエディンは、アルネの部屋で紅茶のもてなしを受け、ご機嫌だ。
「美味い。さすがは、アルネだ。茶の淹れ方も……」
「早く! 教えてください!」
すまない、と苦笑いで謝り、エディンは語り始めた。
かつては医療大国と名をはせた、ダマビア。
それは、豊かな国土に自生する、薬の原料になる草木のおかげだった。
長い年月を掛けて、国民はその成分や薬効、抽出の仕方を得ていった。
「特に、鎮痛剤である『モルフェ』は、他の追随を許さない名薬だったのだ」
「そこまでは、僕も知っています」
ただ、この薬・モルフェは、過剰に摂れば麻薬となる、諸刃の剣だった。
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