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「モルフェを過剰摂取すると、強い陶酔感が忘れられずに乱用を繰り返してしまう」
「精神的依存と、身体的依存、ですね」
「そう。定期的に摂取しなければ、吐き気や悪寒、全身の痛みなどの禁断症状に襲われる」
まさに、麻薬。
悪魔の薬だ。
「その悪魔の薬で、お金儲けをする国。つまり、悪魔の国・ダマビアを、テミスアーリンは滅ぼしたのです」
アルネは、胸を張った。
実に少年らしい、真っ直ぐな眼差しと、正義感だ。
「うん。半分は正しく、半分は誤りだな」
「もう! エディン様ったら、また僕を子ども扱いして!」
アルネが投げつけたテーブルナプキンをキャッチし、エディンは軽く笑った。
「悪かった。そんなつもりでは、無かったのだが」
「早く、その半分を教えてください!」
「それは、アルネ自身の目で、耳で、確かめようか」
「えっ?」
「私と共に、モルフェを求める旅に出ないか? 行こう、ダマビアへ」
二人の、初めての旅。
アルネの胸は、強く高鳴った。
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