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「えっ? 二人きり、ではないのですか?」
「当然だろう。テミスアーリンの王子と、城壁外へ出るのだぞ?」
エディンは、護衛の軍人を10名ほど同行させる、と言ったのだ。
「そ、そうですか。そう……ですよね」
「テミスアーリンから、5名。ネイトステフから、5名。あとは、道案内のガイドだな」
ネイトステフの軍隊は、すでに本国へ帰還したのだが、この地に残る兵士もいた。
テミスアーリンに恋人ができた者、土地柄が気に入った者、適職に恵まれて働き始めた者。
理由はそれぞれだが、いずれはここに帰化したい、と考える人間は多かった。
しかし、その全員が、思いを一つにしていることがある。
『竜将閣下がネイトステフにお戻りになるまでは、私もここから動きません!』
そういった忠誠心が、強く働いていた。
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