73 / 372
3
アルネは、困り顔のエディンに訴えた。
「僕は、たとえエディン様が、幾人もの人を殺めてきたとしても、大丈夫です」
平気、ではない。
気にしない、でもない。
大丈夫、とアルネは言った。
「もし、剣が呪われているのなら、その呪いごと手にします」
人の命を奪うことは、やはり許されないだろう。
だがアルネは、許されない罪を背負うエディンを、支える覚悟だった。
(何という、清い魂だ……!)
アルネの覚悟に、エディンは心打たれていた。
気を抜くと、その目から涙が一粒こぼれそうだ。
「では、鞘に納めた剣を持つといい」
「はい!」
エディンは、鍛冶屋の手によって鍛え直された長剣を、鞘に納めた。
そしてそれを、アルネが差し出した両手に、そっと渡した。
ともだちにシェアしよう!

