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『初陣で、敵将の首を獲るとは。末恐ろしい奴だ』
『その手は、早くも血に染まってしまったのですね』
『あの鉄壁の包囲網を破った、だと? 一体、何人殺めたのだ!?』
『敵に回すと、恐ろしゅうございますわ!』
こんな具合に、決して褒められはしなかったし、返って心証を悪くしたのだ。
「しまいには謀反を恐れられ、国境に飛ばされてしまった、というわけだ」
「そんな」
声を失ってしまったアルネの代わりに、傍で腕組みして聞いていたロビーが唸った。
「何てぇ親だ。閣下、お望みどおりに謀反を起こしてやりなよ!」
「そういう訳には、いかない」
エディンは苦笑いして、剣を身に付け始めた。
アルネはただ、それを見守るしかできなかった。
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