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第十七章 母の過去
過去、母がまだ王室へ入る前。
若き日の母が勤めていたという、カフェ。
そこに、アルネはエディンと共に立ち寄った。
見つけたものは、飾り棚にある母の鉛筆デッサン画だ。
彼女は、明るい笑顔で描かれていた。
「母上……こんなに楽しそうに笑って……」
「母上、って。あなたはもしや、アルネ殿下!?」
カフェのマスターは、大慌てで謝り始めた。
「申し訳ございません! いろいろと、無礼な真似を働きまして!」
その場にしゃがみ込んだため、彼の姿はカウンターの下に見えなくなってしまった。
恐縮するマスターに、アルネは身を乗り出して話しかけた。
「どうぞ、お気になさらず。私は、母上について知りたいのです」
教えていただけませんか、との言葉に、マスターは恐々と顔を上げた。
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