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 兄の弱音は、とどまるところを知らなかった。  彼も負傷からようやく立ち直り、政治を手掛けるようになっている。  頑張ってはいるが、偉大な先王には知識も経験も及ばない。  内乱明けの混乱を鎮め、平穏な国づくりを目指しているものの、至らない点が自分なりに悔しいのだ。   『その上、少し困ったことが起きそうなんだ』 『まだ、何か?』 『これは不確かな情報ではあるけれど、カテリーナ妃とハルパロス殿下が、帰国するお考えらしい』 『戦乱を避けてすぐに亡命し、平和が戻るとすぐに帰ってくるなんて!』

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