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「……それは確かに、やっかいだな」 「えっ?」 「先王の正妻・カテリーナ妃と、その息子・ハルパロス殿下の帰国、か」 「な、なぜ、それを!?」 「戦乱を避けてすぐに亡命し、平和が戻るとすぐに帰ってくるとは、全く厚かましい」 「ぼ、僕、そんなこと言ってません!」  焦るアルネに、エディンは困惑した顔を向けた 「さっきから、下を向いてブツブツ言ってたが?」 「う、うわぁ……!」  アルネは、真っ赤になってしまった。  考えたことが、つい口に出ていたのだ。 (内輪揉めの火種を、ぽろっとこぼしちゃうなんて!)  これは、トップシークレットなのに。  しかも、聞かれた相手が、ネイトステフの竜将殿下だなんて!  大失態をしでかした、とアルネは赤くなったり青くなったりしたが、エディンは変わらず静かだった。

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