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「彼女らは、おそらく仮王陛下から、王の座を奪うつもりで来るだろう」  ふむ、とでも言うように、エディンは顎に手を当てた。 「だが、そんな浅はかな野望など、通用しない」  何やら自信たっぷりのエディンに、アルネは恐る恐る訊ねた。 「なぜ、そこまでハッキリ『通用しない』とおっしゃるんですか?」 「この私が、本国へ伝えるからだ。ネイトステフ王国は仮王の味方につくように、とな」 「あ、ありがとうございます! でも……」 「まだ何か、不安が?」 「万が一、ネイトステフ政府が、カテリーナ王妃側についたら……」  エディンは、アルネの声に重ねて即座に言った。 「たとえネイトステフがカテリーナ王妃に味方しても、私は仮王陛下の側につく」 「エディン様!?」 「……いや、言い直した方が良いな」  彼は、アルネを優しく見つめながら宣言した。 「フェリックス・エディン・ラヴィゲールは、アルネの味方だ」 「エディン様……!」  思わずアルネは、エディンに抱きついていた。  

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