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 城下街を廻って、少し汗をかいた。  城へ帰ってすぐに、エディンもアルネも湯浴みを済ませている。  マントもコートも脱いだ、室内での軽装だ。  王族らしく、薄くても温かな素材で織られた服を、アルネは身に付けている。  その恰好で、突然に抱きつかれたエディンは驚き、固まってしまった。 (あ、アルネ!? いかん。マズい、ヤバい。これは、いけない……!)  柔らかな髪はまだ少し濡れて、心地よい潤いを与えてくる。  白い肌からは、湯上りの良い香りが漂う。  もたれてくる重みは、甘酸っぱい雰囲気をもたらしてくる。 (私も、抱きしめ返したい! だがしかし!)  エディンは、武人として鍛え抜かれた精神力を総動員して、耐えた。  そのままアルネを腕に抱くことを、我慢した。

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