100 / 372
5
アルネの手首を握ったまま、エディンは心から湧き出る言葉を、口にした。
「傷つけるつもりでは、なかった。私も、アルネが好きだ」
「えっ」
「ただ、年齢差や、互いの立場を考えて、素直になれなかった」
「……エディン様。僕が、好きなんですね?」
「ああ、好きだ」
エディンに掴まれた手首をたどり、アルネはもう一度彼に近づいた。
「好きなら……キス、してくれますか?」
「いいのか?」
「して欲しいです。キス」
アルネは、すっかりその体をエディンに預け、軽く瞼を閉じた。
エディンは、つかんだアルネの手首を引き寄せ、その手のひらを自分の頬に当てさせた。
「あったかい……」
「アルネ……」
そろそろと、二人の唇は一つに重なった。
ともだちにシェアしよう!

