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第二十一章 これが愛か?
長くもなく、短くもない。
だが、互いの想いを確かめ合うには充分な、口づけだった。
そっと離れたアルネの顔は、喜びに輝いていた。
「今夜、エディン様のお部屋へ行ってもいいですか?」
「……この気持ちが冷えなければ、おいで」
エディンの甘い返事に、アルネは頬を染めて下を向いた。
恥じらいに身を縮め、丸くなった。
そんな様子を、エディンは見ていた。
相変わらず、優しい微笑みをたたえながら。
しかし、彼の胸中には嵐が巻き起こっていた。
(うぅ、なんと愛らしい! 今夜、私の元へ来る、と!? いいのか!?)
そして、散らかり放題の客室を思い出して、焦った。
旅支度のため、手持ちの武器を全て出し、メンテナンスをしていたエディンだ。
工具や砥石、ヤスリや磨き布が、そこらじゅうに散乱しているのだ。
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