104 / 372

4

 一方、エディンは大急ぎで部屋を片付けていた。 「アルネが、今夜忍んで来る、だと!?」  手入れの済んだ武器を収め、まとめてリュックへ放り込んだ。  床に敷かれた絨毯は、何だか埃っぽい。  回廊へ出て、一番手近な使用人に頼み、新しいものを持ってこさせた。  ベッドのリネンは、毎日取り替えてある。  それでも念には念を入れ、洗い立てのシーツなどを準備した。  そこまで整え終わり、一息ついた時ふと気づいた。  気付いてしまった。 「……待てよ?」  エディンは、アルネとの会話を思い返した。 『今夜、エディン様のお部屋へ行ってもいいですか?』 『……この気持ちが冷えなければ、おいで』 『エディン様になら、僕の純潔さえ捧げても構わない」 「夜に私の部屋へ来る、とアルネは言った。それだけだ。ただ、それだけなんだ」  純潔さえ捧げても構わない、と言った。  だが、純潔を捧げます、と言いきってはいないのだ。  エディンは、頭を抱えてしまった。

ともだちにシェアしよう!