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「ただ、お茶など一緒に楽しむつもりかもしれない。それを、私ときたら!」
『……この気持ちが冷えなければ、おいで』
あんな恥ずかしいことを、口にした!
もう、この頭を壁に打ち付けたいくらいだ。
「しかも『おいで』などと。いつもなら『来るといい』とでも言うのに!」
羞恥で、死にそうだ。
エディンは、これまで多くの人間と肌を重ねてきた。
貴族に、騎士。
従者に、娼婦に、陰間。
性欲や、支配欲を満たすために、抱いてきたのだ。
「……アルネは、違う」
改めて、彼の大切さに気付いた。
彼に対する特別な感情に、エディンは気付いた。
触れたことのない、未知の感情。
「これが『愛』か? 愛、というものなのか?」
そう思うと、夜が待ち遠しくなってきた。
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