110 / 372

5

「寝所へ」  エディンは、アルネの仕草と言葉に瞼を閉じた。 (き、来た……!)  ここまでアルネが積極的なら、もうお断りなどできない。  それでも頭の中は乱れたまま、エディンは寝室へと歩んだ。  暖炉に小さく火が輝いているほかは、灯りが無い。  ほのかに明るい中、アルネはさらさらと身にまとった薄衣を脱いだ。 「エディン様」 「あ、アルネ。気が早くは無いか?」  素裸になったアルネの白い体が、ゆらめく炎に照らされ、美しく浮かび上がる。  純粋な、そして蠱惑的な彼に、エディンは最後の悪あがきをした。 「本当に、私に純潔を捧げるのか?」 「はい」 「私など……私でいいのか? 他にもっと素晴らしい人物は、大勢……」 「エディン様が、いいのです。エディン様以外に、おりません」  アルネはハッキリと断言し、すばやくベッドへと上がってしまった。

ともだちにシェアしよう!