111 / 372
第二十三章 夜は激しく密やかに
さっさと先にベッドへ上がってしまったアルネを追う形で、エディンは支度を整えた。
(このような失態は、初めてだ)
いつも自分が優先で、相手をリードしてきたエディンだが。
(まるでこちらが初めての、経験のない少年のようだ!)
そこまで思って、彼は考えを改めた。
(いや、初めてだ。初めてなんだ)
こんな気持ちで、アルネのように特別な人間と肌を合わせることは、初めてなのだ。
彼の気持ちを知ってか知らずか、アルネは身を寄せてきた。
すぐにでも唇が触れるかの距離まで、近づいてきた。
「アルネ」
「はい、エディン様」
「大切なことを、訊いてもいいか?」
「どうぞ」
唇を寄せたまま、エディンはアルネにささやいた。
ともだちにシェアしよう!

