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第二十三章 夜は激しく密やかに

 さっさと先にベッドへ上がってしまったアルネを追う形で、エディンは支度を整えた。 (このような失態は、初めてだ)  いつも自分が優先で、相手をリードしてきたエディンだが。 (まるでこちらが初めての、経験のない少年のようだ!)  そこまで思って、彼は考えを改めた。 (いや、初めてだ。初めてなんだ)  こんな気持ちで、アルネのように特別な人間と肌を合わせることは、初めてなのだ。  彼の気持ちを知ってか知らずか、アルネは身を寄せてきた。  すぐにでも唇が触れるかの距離まで、近づいてきた。 「アルネ」 「はい、エディン様」 「大切なことを、訊いてもいいか?」 「どうぞ」  唇を寄せたまま、エディンはアルネにささやいた。

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