112 / 372

2

「私はこれまで、幾多の命を奪った罪深い男だ。この手は、血で真っ赤に染まっている」  そんな汚れた人間に、抱かれてもいいのか? 「その罪は、僕も一緒に背負い、償いたいと思うのです」  アルネの即答に、エディンは胸が熱くなった。 「もうひとつ。なぜ、私を選んだ?」 「僕はあなたが、好きなんです……恋を、しているんです」 「恋?」  愛と同じく、また不可解な言葉だ。  考えこもうとしたエディンを呼び覚ましたのは、アルネの優しい仕草。  彼の顔に頬を寄せ、温めてくれたのだ。  初めて味わう甘い愛撫に、エディンはもう言葉など要らないのだと悟った。 「今夜は私をエディン様、ではなく、エディン、と呼んで欲しい」 「……エディン」  そして二人は、唇を合わせた。

ともだちにシェアしよう!