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僕の方こそ、と今度はアルネが恥ずかし気に呟いた。
「エディン様は僕のことを、ふしだらな王子だと思っていませんか?」
「バカな! 私は一瞬たりとも、そんな考えを持ったことは無い!」
エディンもまた、アルネの不安を吹き飛ばした。
「良かった!」
「良かった!」
再び言葉が重なって、二人は顔を見合わせ笑った。
笑いが収まる頃、エディンは素朴な疑問を口にした。
「アルネは、どうしてこうも急いだ? 私と契りを結ぶことを」
「それは僕自身が、悔いの無いように生きたいと、考えるようになったからです」
「悔いの無いように生きる……」
「はい。ダマビアへの旅で、たとえ命を落としても、悔いが残らないように」
不吉なことを言うな、とエディンはたしなめた。
「この私が、ついているのだ。決して、アルネを死なせたりはしない」
その声は静かだったが、熱い誓いに満ちていた。
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