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「たとえ生きていても、引き裂かれるかもしれませんから」  アルネは、エディンの手の甲に額をつけたまま、ぽつりと言った。 「……」  今度は、エディンが沈黙した。  続けてくれ。  わけを知りたい。  そんな心の声が、アルネには聞こえていた。  だから、続けた。 「先王の正妻・カテリーナ妃が帰国すれば、僕はその息子・ハルパロス殿下と結婚させられるでしょう」 「な、何ッ!?」 「王族の恥をさらすようで、すみません。でも、そうすれば王の血族が一つにまとまります」 「バカな……!」  カテリーナは、内乱が起きる前からハルパロスをアルネに言い寄らせていた。  そしてハルパロスも、この政略結婚にまんざらでもない態度を取っていたのだ。

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