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亡き先王、つまりアルネの父は、エディンと同じく無骨な武人気質を持つ人間だった。
互いの国益の為に、海を渡って嫁いできた正妻・カテリーナ。
王は、彼女への愛情は、その物欲を満たすことで表すしか、方法を知らなかった。
「高価なドレスや、宝飾品。贅沢な食事や、珍しい宝物。父上は、カテリーナ妃の望むまま、贈りものを与え続けました」
「しかし。それではいずれ、国の財政が圧迫される」
「おっしゃるとおりです。それを不満に感じた軍閥が、このたびのクーデターを起こしたのです」
ネイトステフ王国の、竜将・エディンの助けにより、クーデターは鎮圧された。
だが、カテリーナとハルパロスが帰国すれば、今度はアルネが危機的状況に立たされるのだ。
「……いっそ、クーデターを成功させれば良かったのかな?」
「もう! バカなこと、言わないでください!」
「すまん。しかし、心配するな。言っただろう? 私はアルネの味方だ、と」
私はいつでも、アルネの傍にいる。
そして、命を賭して君を守り続ける。
エディンの手の甲に、アルネの涙がこぼれた。
嬉し涙で、しっとりと濡れた。
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