126 / 372

第二十六章 恋人よ

『私はいつでも、アルネの傍にいる。そして、命を賭して君を守り続ける』  熱い想いに満ちたエディンの言葉は、アルネの瞳に涙を浮かべさせた。  それと同時に、ある呪文が唇からこぼれ落ちた。 「フェリックス・エディン・ラヴィゲール……」  吐息かと思うほどの、小さなささやきだったが、エディンの耳は聞き逃さなかった。 「呼んだか?」 「あ、いいえ。つい、唱えてしまいました」 「唱える? まるで呪文のような言い方だな」 「呪文……そう、呪文なんです。エディン様のお名前は、僕の大切なおまじないです」  アルネは、初めて彼の名を知った時のことを、語った。

ともだちにシェアしよう!