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第二十七章 宿場にて
「これが、ラクダ……本物は、初めて見ました」
「ここから先は、砂漠の旅だ。馬は降りて、ラクダに乗る」
アルネとエディンがダマビアへと旅立ってから、10日ほど経っていた。
街を抜け、城壁を越え、畑や牧場の広がる郊外を駆け抜け。
そしていよいよ、テミスアーリン王国の外へと出ようとしていた。
「砂漠は、無法地帯だ。アルネ坊ちゃん、覚悟はできてるかい!?」
道案内の一人、鍛冶屋・ロビーの大声が青い空に響く。
「張り切って行きましょう!」
負けないくらいに声を張る、アルネだ。
一同は明るく笑い、馬を降りた。
手綱を宿の使用人たちに預けて、それぞれがくつろぎ始めた。
この、最後の宿場町を後にすると、砂漠での野営が待っている。
ゆっくりと温かいベッドで眠れるのは、しばらくおあずけだ。
エディンは部下たちをねぎらい、出発までは自由に過ごすことを許可していた。
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