139 / 372

4

「しかも、隊のみんなにも、ちゃんと心配りをしてくださるんだ」  アルネは、エディンの全方位に向けた配慮に、気付いていた。  アルネばかり大切にしていると、彼が他の人間に逆恨みされる恐れがある。 『油は無いが、酒ならあるぞ。ほら』 『さすが、竜将閣下!』 『まもなく、月が細くなる。近々、酒宴でも開こうか』 『それでこそ、竜将の旦那!』  こんな具合に、ちゃんとバランスよく部下にも接する、エディンだ。  それに、いつしか彼は、軍人だけでなく商人たちの信頼も、しっかり得ていた。 「ネイトステフ王国の、大軍を率いる方だものね。すごいな」  いつか僕も、彼のような指導力を身につけたい。 「そして、テミスアーリンの人々を、幸せにしたい……」  アルネはそう考えながら、眠りに落ちるようになっていた。  エディンを、恋人として想う一方で、尊敬し目指す標としても、意識するようになっていた。

ともだちにシェアしよう!