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「しかも、隊のみんなにも、ちゃんと心配りをしてくださるんだ」
アルネは、エディンの全方位に向けた配慮に、気付いていた。
アルネばかり大切にしていると、彼が他の人間に逆恨みされる恐れがある。
『油は無いが、酒ならあるぞ。ほら』
『さすが、竜将閣下!』
『まもなく、月が細くなる。近々、酒宴でも開こうか』
『それでこそ、竜将の旦那!』
こんな具合に、ちゃんとバランスよく部下にも接する、エディンだ。
それに、いつしか彼は、軍人だけでなく商人たちの信頼も、しっかり得ていた。
「ネイトステフ王国の、大軍を率いる方だものね。すごいな」
いつか僕も、彼のような指導力を身につけたい。
「そして、テミスアーリンの人々を、幸せにしたい……」
アルネはそう考えながら、眠りに落ちるようになっていた。
エディンを、恋人として想う一方で、尊敬し目指す標としても、意識するようになっていた。
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