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夜空の月が円く明るいと、砂漠の盗賊団が現れやすい。
夜目が利く彼らは、月光を頼りにキャラバンのキャンプを見つけ、襲撃してくるのだ。
「月齢は20を過ぎました。月の出も、0時過ぎです」
「今宵、酒宴を開きませんか。竜将閣下!」
「そうだな。久々に、飲むか」
大喜びで、両腕を天に突き上げるエディンの部下たちだ。
ガイドの商人たちも喜んだが、彼らのまとめ役でもあるロビーは、冷静だった。
「でも、見張りは立てなきゃなぁ。そいつは飲めなくなるが、誰にするんだぃ?」
誰も、名乗り出ない。
わずかの沈黙の後に、元気よく手を挙げたのは、アルネだった。
「僕が見張りに立ちます!」
「アルネ坊ちゃんが、かい!?」
さすがに一国の王子を見張りにするのはマズい、とロビーは反対した。
盛り上がった空気が冷めかけたその時、アルネが訴えた。
「僕はまだ、飲酒のできない年齢です。適任と思いませんか?」
彼は、少しでもエディンに近づきたかった。
優れた統率力を持つ、竜将・エディンに近づきたかったのだ。
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