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第二十九章 認めること、認めてもらうこと
酒宴であるのに、飲酒をしない。
そして、見張りの番をする。
こんな淋しいポジションには、誰も就きたくないところだ。
ところが、アルネが手を挙げた。
「僕はまだ、飲酒のできない年齢です。適任と思いませんか?」
テミスアーリンの王子に、そんな役を押し付けるのは気が引ける。
部隊の皆がためらっていたが、エディンが一歩前へ出た。
アルネの肩に手を乗せ、うなずいた。
「見張りは、アルネ殿下にお任せしよう。彼も、仲間の一員だからな」
彼の一言で、アルネは見張りに決定した。
空気が和み、人々は動き始めた。
テントを張ったり、宴の準備をしたりと、働き始めた。
「ありがとう、エディン様。僕、頑張ります!」
「あまり、無理はしないでくれよ」
少し、エディンに近づけたような気がして、アルネは嬉しかった。
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