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鞘の形からも解っていたが、アルネが手にした剣は切先が少し反っていた。
用心しつつ、彼はそれを振るってみたが、驚いた。
「……わぁ!」
「どうだ?」
「少し力を入れただけなのに、ずいぶん強く振れます!」
「この剣は、先に重心が掛かるようにできているんだ」
だから、遠心力を活用して敵を攻撃しやすい。
扱う人間に負荷が掛かるが、その反面斬りつける相手にも、重い一撃を与えやすい。
そんな説明を、エディンはアルネに語った。
「まぁ簡単に言えば、さほど技術が無くても充分に戦える、便利な剣だ」
「技術が無くて、悪かったですね!」
「お、怒らないでくれ! 剣をこちらに向けるんじゃない!」
慌てるエディンに、ニコッと明るい笑顔を向けると、アルネは剣を鞘に納めた。
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