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 大股で歩くエディンの耳は赤く、カッカと熱を持っていた。 「アルネが、褒めてくれた……!」 『この剣を手にして、エディン様に認めてもらった気がするんです』 「何て嬉しいことを言ってくれるんだ!」  エディンは、アルネの言葉を深く噛みしめていた。  私の剣など持たなくても、アルネは立派な王族の一人だ。  私などが認めなくても、彼は立派な王子だ。 「だのに……あんな優しい言葉を掛けてくれるなんて!」  本当なら、頭を撫でてヨシヨシをしてもらいたいところだ。  頬を寄せて、スリスリして欲しいところだ。  だがしかし。 「おぁ! 竜将閣下ぁ、どこに行ってらしたんですかぁ!?」 「さっさとこっちに来て、一杯やりましょうぜ、旦那ぁ!」  酔っぱらいと化した部下と商人たちが、叫んでいる。 「周囲の目がある……残念極まりない……!」  奥歯をギリリと噛んで、エディンは酒宴の席へと戻って行った。

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