154 / 372
4
「やい! 竜将だか何だか知らねぇが、俺様より強い男の存在は許せねぇぞ!」
「止めてください、親分!」
「相手が悪すぎますって!」
内輪で乱れ始めた盗賊団に、エディンは畳みかけた。
「そして! ここにおいでの、アルネ・エドゥアルド・クラル殿下! 剣の達人であらせられる!」
この合図に、アルネはできるだけ勇ましく飛び出した。
(剣の達人、って! 僕は、ほとんど素人なんだけどな!?)
だが、この状況で正直に申告などしてはいられない。
エディンに任された剣を、一振り二振りして見せた。
アルネが手にしている剣は、先重心なので派手に空を滑る。
遠心力で良く流れ、空を切る音が耳に響いた。
「こ、こいつら! 一人隠れていやがったのか!」
一人が相手と思っていたところが、二人に分身したかのように増えてしまった。
盗賊団の首領は、焦り始めた。
ともだちにシェアしよう!

