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 そして、とどめを刺す形で、掛け声が乱れ飛んできた。 「竜将の旦那! 全員、叩き起こしましたぜ!」 「おらぁ! どこだ、盗賊はァ!」 「三つ折りに畳んでやるァ!」  みんな酔っぱらっているので、品の無いことこの上ない。 「これでは、どちらが盗賊団だか解らないじゃないか……」  エディンは呆れたが、盗賊の首領は苦い顔をした。 (人数は五分五分だが、ちょいと計算が狂っちまったな)  なにせ手下たちが、目の前の男にすっかり気圧されているのだ。  首領は、すぐに作戦を変更した。 「よぉし、解った! 俺とお前の、一騎打ちといこうじゃないか!」  この発言に、アルネはすかさずエディンを見た。  やめて欲しい、と思ったのだ。  初見の、しかも手段を選ばない盗賊との一騎打ちなど、危険すぎる。  だがしかし。 「面白い。受けてたとう」 「エディン様!?」  竜将は、堂々とこの申し出に乗っていた。

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