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第三十二章 意外な結末

 盗賊の首領との、一騎打ち。  あまりに危険なその賭けに、アルネは思わずエディンのマントを握っていた。  しかし彼は、そっとその手に指先で触れ、うなずいて見せた。 「大丈夫だから、堂々としていてくれ。できれば、少し見得を切って欲しいな」 「えぇ……?」  エディンがこれほど落ち着いて、大丈夫だと言うからには、自信があるのだろう。 (だけど、見得を切るって。やったことないけど、言ったことないけど……!)  アルネは大きく息を吸い、首領を睨みつけた。  そして、思いつく限りの言葉をまくし立てた。 「竜将殿下は、一騎当千の武人であるぞ! 疾きこと風の如く! 徐かなること林の如く! 侵掠すること火の如く! 動かざること山の如く! それから……」 「あ、アルネ。もう、そのくらいで良いから」  オーバーなアルネの啖呵に、首領は逆に笑いだしてしまった。

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