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「これはこれは、御大層な武人様であるな! では、一手お願いいたす!」  わざとアルネの口調を真似て、首領は剣を抜いた。  左手に、一振りの大剣が光る。  首領が左利きであることに、エディンは警戒した。 (これまで左の剣士とは、あまり戦ったことがないな……)  しかし首領は、さらに右手にも剣を持ったのだ。 「両手使い、か!」  目を見張ったエディンに、首領はニヤリと笑い左右の剣刃を合わせて鳴らした。 「どうだ、驚いたか! 降参するなら、今のうちだぞ!」 「冗談抜かすな。行くぞ!」  エディンは、居合のように腰の長剣に手を掛けた。  素早く間合いを詰め、首領の懐へと飛び込んだかと思うと、抜刀した。 「う、うぁ!?」 「遅い!」  首領が剣を振るう隙を与えず、エディンは一飛びで退いた。 「や、やるな! 腕が鳴るぜ!」 「お喋りをする暇など、無い」  すかさず長剣を閃かせるエディンを、アルネは息を詰めて見ていた。

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