160 / 372

5

「一撃で終わるのは、貴様の方だぁ!」  最後の悪あがきで、首領はエディンに突進して来た。  だが、間合いを取らせる隙も与えず、彼は男の鉄兜を長剣でトン、と軽く叩いた。 「終わりだ」 「えっ?」  たちまち、首領の鉄兜が、真っ二つに割れた。 「あ!? うぁ!?」  それだけでは終わらず、次は額当てがハラリと切れ落ち、さらに両肩の防具が割れた。  まるで、あらかじめ切り込みを入れていたかのように、次から次へと首領の武具が落ちていく。 「あらっ? あ、あれ? あぁ、ああ! うわぁあ!」  しまいには、一番下に着ていた布の服までバラバラに刻まれて、首領は丸裸になってしまった。  エディンの部隊は、それを見て大笑いだ。  盗賊団の手下たちまで、顔を真っ赤にして笑いをこらえている。  防具どころか、威厳も、体裁も、首領としての面目も、全てを失った裸の男が出来上がってしまった。 「だから、終わりだ、と言っただろう」  アルネに血を見せたくないエディンの、考えた末の決着だった。

ともだちにシェアしよう!