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「昨晩から私は、その。結構、頑張ったとは思わないか?」 「それはもう。素晴らしい活躍でした!」 「ん、そう、かな」 (アルネに、褒めてもらった!) 「さすがは、エディン様です。武芸だけでなく、知略もお見事でした!」 「まあ、そう、だな」 (アルネに、褒めてもらった! 二回も!) 「そして……僕を思いやってくれて、ありがとうございました」 「当然だ」  これ以上、アルネに流血の惨事は見せたくない。  それはエディンの心からの願いであり、遂行すべき使命なのだ。  再び引き締まったエディンの顔に、柔らかいものが触れた。 「……ご褒美、です」  アルネが、頬にそっとキスをしてくれたのだ。 「……」  声を立てずに、エディンはその感触を味わった。  地位でもなく、名誉でもなく、財でもない。  だが、何よりの褒賞だった。

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