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第三十四章 いざ、ダマビアへ!

「しかし、よぅ。どうして、ダマビアなんかに行くんだよ?」  目的地が近づくにつれ、バシリキはそう訊ねるようになった。  泣く子も黙る、盗賊団・赤の鷲。  その首領が、怯えたような目をしている。 「僕も、少し怖いんです。テミスアーリンで『悪魔の国』と呼ばれていますから」  だけど、とアルネはラクダに揺られながら、しっかりと答えた。 「母上の痛みを和らげる薬・モルフェ。それを手に入れるまでは、帰れません」 「モルフェなら、俺様が少し持ってる。そいつをやるからさ。やめとけ」  アルネの右隣でラクダにまたがっているバシリキの近くに、先頭のエディンが下がってきた。 「さすがのバシリキ殿にも、怖いものがあったとは」  笑いを含んだエディンの言葉に、首領は首を何度も横に振った。 「こ、怖くなんか、ねぇよ! ただ、あそこには化け物が大勢いやがるから!」 「化け物、ですか?」 「そうだよ、アルネ坊ちゃん! ヒトのふりして暮らしてやがる、化け物どもがよぅ!」  バシリキの言葉に、アルネはエディンを見上げた。

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