169 / 372

4

「アルネ坊ちゃん、この袋にモルフォが入ってるぜ!」 「えっ?」  しばらく後方へ下がっていたバシリキのラクダが、再びアルネの隣へ戻ってきた。 「これをあげるから、すぐに本国へ帰んな」  バシリキが渡した革の袋の中には、さらに油紙でできた小袋が数個入っている。  大切な薬であることには、違いない。 「ありがとう。でも、母上の他にも、痛みに苦しむ人が大勢いるんです」 「これっぽっちじゃ、足りねぇか……」 「できれば、ダマビアと正式に条約を交わして、モルフォを輸入したいと考えています」  アルネの言葉に、バシリキは深くうなずいた。 「まだ子どもなのに、立派だ! よし、俺様も協力するぜ!」  バシリキの眼差しから、怯えの色が消えて無くなった。

ともだちにシェアしよう!