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第三十五章 謎めいた国
先駆けてダマビアへ向かった偵察隊のラクダが、エディンの元へと戻ってきた。
首領のバシリキも、その中の一人だ。
「竜将親分、あの国は相変わらずだったぜ。静まり返ってやがる」
「国境警備隊は?」
「そんなもん、いやしねえよ。低い城壁の向こうに人影が見えたが、まるで幽霊だ」
ラクダから降りているバシリキは、体をふらふら揺らして見せた。
二人の会話に、アルネは気を引き締めた。
(いよいよ、ダマビアへ入国だ! 悪魔も化け物も、怖くない!)
そんな彼に、エディンは軽い口調で問いかけた。
「アルネ、幽霊は大丈夫か?」
「えっ!? あ、はい……多分」
「よし。では、本隊も出発だ」
ラクダの隊列は、灌木が目立ち始めた砂漠を進んだ。
オアシスが、近いのだ。
そして、目指す国・ダマビアも。
(アルネ。どうか、この国の民を怖がらないで欲しい)
(エディン様が、希望と呼ぶなら大丈夫!)
二人の思惑を乗せ、ラクダはダマビアへ向けて、真っ直ぐに進んだ。
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